火沙汰ひざた)” の例文
なんてって親方でやいが、串戯じょうだんにもいったんですが、それでもざっと一年ばかり、彼奴あいつ火沙汰ひざたがなかったんです。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
火沙汰ひざたの前兆である、といったのが、七日なぬか目の夜中に不幸にして的中した事と。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少々たいらな盆地になった、その温泉場へ入りますと、火沙汰ひざたはまた格別、……ひどいもので、村はずれには、落葉、枯葉、焼灰に交って、獦子鳥あとり頬白ほおじろ山雀やまがらひわ小雀こがらなどと言う、あかだ、青だ
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下町、山の手、昼夜の火沙汰ひざたで、時の鐘ほどジャンジャンとつける、そこもかしこも、放火つけびだ放火だ、と取り騒いで、夜廻りの拍子木が、枕に響く町々に、寝心のさて安からざりし年とかや。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)