火悪戯ひいたずら)” の例文
「みんなおれたちの火悪戯ひいたずらだった。世を救う力もない者が世を救おうとし、人を救う力もない者が人を救おうとした結果だ、仏陀ぶっだの見せしめだ……」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうした考えの人々がいつのまにか院のうちに、秘密結社をつくって、暗躍しているらしいことを、範綱は、あぶない火悪戯ひいたずらを見るように察していたので
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この火悪戯ひいたずらは、元より自分の好奇心にもあったことだが、火つけ友達は、まぎれなくあの従兄だ。従兄の亀次郎さえいなかったら、この運命もなかった気がする。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし智謀の質でない者が、智をもてあそぶ場合は、もっと危険な火悪戯ひいたずらとなるこというまでもない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お兄様。あなた方の遊ばしているおくわだてを見ていると、お心だけは雄々しくても、さる事は、おさない者の火悪戯ひいたずらのようです。すぐにそう事をこわすことばかり勇ましがっていらっしゃる」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただあなたの火悪戯ひいたずらは、あなたと信長のあいだに止まらず、国々へ飛び火する。庶民を苦します。——いや、何よりも、御宸襟ごしんきんをなやまし奉る。その罪の大を、ちとお考えあられたがよい
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうして、そのような老齢な一族のおさや、時政のような分別者が、「若いものの火悪戯ひいたずら」に過ぎないと思われるこんな暴挙に、さまで熱情をもつばかりか、一族の運命をしてまで組するのか?
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いずれにせよ、どこの炎も、火元はひとつ、火悪戯ひいたずらのお好きな、あの両面の公方殿の仕業に相違ない。——その公方殿に、わざと和睦の仲裁をさせて、急に軍を退くのだ。秘かにだぞ。急いで行け」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火悪戯ひいたずら
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)