濠水ほりみず)” の例文
「いや、城内は相かわらずで、深更まで狭間はざま明々あかあか燈火ともしびが望まれ、どうかすると濠水ほりみずに、悠長な能管のうかんの音や小鼓こつづみの鳴りひびいていたりすることもありますが」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
李俊りしゅん張横ちょうおう、張順、穆弘ぼくこうらも、濠水ほりみずに入って、敵塁てきるいに取りすがろうと企てたが、つぶて、乱箭らんせん、石砲などに会って寄りつけず、陸上の戴宗たいそう、白勝も唖然あぜんたるばかりで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みな無言で、みな悲涙をためて、ただ黒い濠水ほりみずおもてへ、こみあげる感情をたたきこんでいた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
籠城となれば、飲料水に乏しく、濠水ほりみずはややもすれば干上ひあがります。事ある場合は、討って出るしかないお城でございます。——けれど野戦に勝目のない大軍の来襲をうけた場合は
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腐敗しきった数百年の濠水ほりみずの底にも、なお一脈の真清水ましみずれていなかった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の足もとの濠水ほりみずに、二、三発の銃弾が魚のはねたように水をあげた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)