漫罵まんば)” の例文
そこで彼らは、このしおとばかり、まわりに見える弥次馬へも、演舌するような口調で、足利若御料の周囲を漫罵まんばしたあげくに
……言葉は俺の方が上手じょうずだが、貴様もそんなことを言ったな。けれども貴様、それは漫罵まんばだ。貴様はいったい何を提唱した。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
国際的通有性の濃い性器に関する漫罵まんばの言葉も多分に含まれてゐたことだらうが、やがて双方が次第に興奮して来て
少年 (新字旧仮名) / 神西清(著)
筠庭はもと漫罵まんばへきがある。五郎作と同年に歿した喜多静廬きたせいろを評して、性質風流なく、祭礼などの繁華なるを見ることを好めりといっている。風流をどんな事と心得ていたか。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
街の悪童の漫罵まんばの中に、泥酔でいすいした父親を背負って帰る屈辱感が、ベートーヴェンの負けじ魂を一層かたくななものにし、いばらの道を渋面作って踏み破る最初のスタートになったのであろう。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
それも平生吾輩が彼の背中せなかへ乗る時に少しは好い顔でもするならこの漫罵まんばも甘んじて受けるが、こっちの便利になる事は何一つ快くしてくれた事もないのに、小便に立ったのを馬鹿野郎とはひどい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きょう馬から落ちたのは、わざとしたので、金瘡きんそうが破れたのではない。曹仁が漫罵まんばの計を逆用して、急に血を吐いた真似をして見せたのだ。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
検疫官は絵島丸が残して行った白沫はくまつの中で、腰をふらつかせながら、笑い興ずる群集にまで幾度も頭を下げた。群集はまた思い出したように漫罵まんばを放って笑いどよめいた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その漫罵まんばと人々の意地悪さには、さすがの武大も耐えかねた。金蓮をつれて、とうとう生れ故郷を逃げ出し、隣県の紫石街に小世帯を持って、じぶんは毎日、揚げ饅頭まんじゅうを売りに歩いていたものだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)