ワタ)” の例文
タノむ所の深い此あて人は、庭の風景の、目立つた個処々々を指摘しながら、其拠ソノヨる所を、日本ヤマト漢土モロコシワタつて説明した。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「若将軍、敵は遂に、自ら絶好な機会を作ってきましたぞ。兵法にいう。——兵半バヲワタラバ撃ツベシ——と」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その南北にワタつてゐる長い光りの筋が、北の端で急に広がつて見えるのは、凡河内オホシカフチムラのあたりであらう。其へ、山間ヤマアヒを出たばかりの堅塩カタシホ川—大和川—が落ちあつて居るのだ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
敵河ワタラバ河ノ半バニシテ打ツ
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「其音ノリトに似て、又歌声にワタる」と評した位だ。語部は、宮廷に於てさへ、事実上平安期には既にほろびて、猿女サルメの如きも、大体伝承を失うて居た。まして、地方は甚しかつたであらう。