深谷ふかや)” の例文
ここにこし達磨だるまのことも言い添えておくべきでしょうか。木型きがたを用い、紙で作ります。この県の唯一の窯場かまば深谷ふかやであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
今は汽車の便たよりありて深谷ふかやより寄居に至る方、熊谷より寄居に至るよりもやや近ければ、深谷まで汽車にて行き越し、そこより馬車の便りをりて寄居に至り
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
太い引きずるような波鳴りの聞えるうらさびた田舎道を、小一時間も馬を進ませつづけていた私達の前方まえには、とうとう岬の、キャプテン深谷ふかや邸が見えはじめた。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
高島田に花笄はなこうがいの、盛装した嫁入姿の窈窕ようちょうたる淑女が、その嫁御寮に似もつかぬ、卑しげなけんのある女親まじりに、七八人の附添とともに、深谷ふかや駅から同じ室に乗組んで
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
値段をきめて、深谷ふかやまで二里二十七町の丁場ちょうばを、ともかく馬に乗ることにきめました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼等のうちに、種々なつまらないことばかりを知ってる深谷ふかやという男がいて、姓名判断をしてやるというので、皆の姓名を順々に聴きただしていって、しまいにお清へまで及んでいった。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
その一つの部屋に、深谷ふかやというのと、安岡やすおかと呼ばれる卒業期の五年生がいた。
死屍を食う男 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
しかし、信者の群は、なおも闇の中から、むくむく湧き出してくるのだったけれども、それが深谷ふかやあたりになると、大半が切り崩されてしまい、すでに神ヶ原では、五人の周囲に人影もなかった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
十日、宿を立出でて長善寺のかたえより左へ横折れ、観音堂のほとりを過ぎ、深谷ふかやへと心ざす。幸に馬車の深谷へ行くものありければ、武蔵野というところよりそれに乗りて松原を走る。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)