深殿しんでん)” の例文
景陽宮の深殿しんでんは、ここかがや祗候しこうだった。出御しゅつぎょ金鈴きんれいがつたわると、ほどなく声蹕せいひつむちを告げること三たび、珠簾しゅれんサラサラと捲き上がって
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いうまでもなく、この深殿しんでんへ、そうして無断に来るひとは、浅井長政のほかにはない。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつか彼は、文徳殿の庭から紫宸殿ししいでんのほとりへ来てたたずんでいた。禁門のいずこでもとがめられはしなかった。けれど深殿しんでんのおもなる所はみなじょうがおりているので立入ることはできない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほのかな深殿しんでんしょくに、それが氷のように見え、諸人は、目をすまして疑った。
「は。お耳にさわりましたか。やはり三清宮の深殿しんでんの一でございまする」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)