消息せうそこ)” の例文
六九古郷ふるさとに捨てし人の消息せうそこをだにしらで、七〇萱草わすれぐさおひぬる野方のべに長々しき年月を過しけるは、七一まことなきおのが心なりける物を。
あけぬれば歌よむ友のもとに消息せうそこして、このほこりいはゞやとしつるを、事にまぎれてさて暮しつ。に入れば又々鳴きわたるよ。こたびはよひよりうちしきりぬ。
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくしは茶山と景樹との歌を書いて、出典は文化十四年の茶山の消息せうそこと註し、「景樹の此歌他書に見え候ものには無之候や」と問うた。此歌は園主の記憶中には無かつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
消息せうそこか?」
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一四四いづれ消息せうそこを見ずばあらじとて、ふたたび山にのぼり給ふに、一四五いかさまにも人のいききえたると見えて、去年こぞふみわけし道ぞとも思はれず。
一とせはやくたちて、一三五むかふ年の冬十月かみなづき初旬はじめ、快庵大徳、一三六奥路あうろのかへるさに又ここを過ぎ給ふが、かの一宿ひとよのあるじがいへに立ちよりて、僧が一三七消息せうそこを尋ね給ふ。