泥地でいち)” の例文
ハナショウブは、ふつうに水ある泥地でいちに作ってあるが、しかし水なき畑にえても、くできて花が咲く。宿根性草本しゅっこんせいそうほんで、地下茎ちかけい横臥おうがしている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
怒潮四千の軍馬に揉み込まれては、文字どおり鎧袖がいしゅう一触いっしょくで、敢然、孤槍をふるって立ち向う兵は、忽ち、泥地でいち血漿けっしょうと化し、多くは四散して、次の防塁にろうとした。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つの風景を、もやのふかい空のもとにある、しめった、肥沃ひよくな、広漠こうばくとした熱帯の沼沢地を、島と泥地でいちどろをうかべた水流とから成っている、一種の原始のままの荒蕪こうぶ地を見た。
沼の底は砂のまじった泥地でいちである。ずるずると重い戦車は泥の中へしずんで行く。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)