治兵衛じへえ)” の例文
旧字:治兵衞
近江屋治兵衛じへえは観音堂の屋根の見える限りでは、並ぶ者ないと言われる大分限だいぶげん、女房おとよとの間に生れた一人娘のお雛は
舞台へ出るけいこ最中の若者らは他村にひけを取るまいとして、振付ふりつけは飯田の梅蔵に、うたは名古屋の治兵衛じへえに、三味線しゃみせんは中村屋鍵蔵かぎぞうに、それぞれ依頼する手はずをさだめた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
◦日本料理法大全 石井治兵衛じへえ氏著、東京日本橋区本町ほんちょう三丁目博文館はくぶんかん発行、定価弐円五十銭
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
小春こはる治兵衛じへえの情事を語るに最も適したものは大阪の浄瑠璃である。浦里時次郎うらざとときじろうの艶事を伝うるにもっとも適したものは江戸の浄瑠璃である。マスカニの歌劇はかならず伊太利亜イタリア語を以て為されなければなるまい。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
治兵衛じへえ坊主ぼうずの家ですだよ。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
深川の材木問屋春木屋はるきやの主人治兵衛じへえが、死んだ女房の追善ついぜんに、檀那寺だんなでらなる谷中やなか清養寺せいようじの本堂を修理し、その費用三千両を釣台つりだいに載せて、木場きばから谷中まで送ることになりました。
主人の治兵衛じへえは五十を越したばかりですが、子煩悩こぼんのう因業いんごうで有名な男で、平次と八五郎を虫ケラみたいに見下しておりましたが、人殺しの疑いが娘のお糸の方へ向いていることに気が付くと