気恥きはず)” の例文
旧字:氣恥
拳闘けんとう某氏ぼうしのように責任を感じて丸坊主まるぼうずになったひともいましたが、やはり気恥きはずかしさやひがみもあり張りめた気も一遍いっぺんに折れた、がっかりさで
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
誰でも中年以後になって、二十一二時代の自分を眼の前におもい浮べて見ると、いろいろ回想のむらがる中に、気恥きはずかしくて冷汗の流れそうな一断面を見出すものである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが今日は野良のら仕事もだんだんしなくなり、たまたまみなさんが郊外を散歩して、散歩が気恥きはずかしいように考えられるような、女の働きぶりを見られることがあっても
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
多少気張っても見たが、其内くたびれ、気恥きはずかしくなって、わし一切いっさい説法せっぽうをよした。而して吾儘一ぱいの生活をして居る。儂は告白する、儂は村の人にはなり切れぬ。此は儂の性分である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
もっと、ここに書くのも気恥きはずかしいほど、あまったるい文句も書いてありました。で、ぼくは大切に、一々トランクの奥底おくそこにしまい込んでいたのです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
その言い方に、ぼくはふッと、彼の大人を感じると、なにか信用して好い気になり、安心すると同時に、一遍いっぺん気恥きはずかしくなってきて急いで、彼の部屋を辞しました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)