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歯切
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はぎしり
蚊がぶうんと
唸って、
歯切もどこかでする。
灯の暗い、
鬱陶しかるべき蚊帳の内も、
主人がこれであるから、あえて蒸暑くもないのであった。
叔父なればとて常不断
能も貴様の無理を忍んで居る事ぞと見る人は皆、
歯切を貴様に
噛んで涙をお辰に
飜すは、
姑に
凍飯食わするような冷い心の嫁も
「なに止められて
堪るものか。故障の入らぬ内に、おおそうじゃ。」と
切尖をちょいと
中てて
震上り、「武士が、武士が、」と
歯切して、ぐっとまでにはならぬけれど、ほんとに突いて