歯切はぎしり)” の例文
旧字:齒切
蚊がぶうんとうなって、歯切はぎしりもどこかでする。あかりの暗い、鬱陶うっとうしかるべき蚊帳の内も、主人あるじがこれであるから、あえて蒸暑くもないのであった。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
叔父なればとて常不断よくも貴様の無理を忍んで居る事ぞと見る人は皆、歯切はぎしりを貴様にんで涙をお辰にこぼすは、しゅうと凍飯こおりめし食わするような冷い心の嫁も
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「なに止められてたまるものか。故障の入らぬ内に、おおそうじゃ。」と切尖きっさきをちょいとてて震上ふるえあがり、「武士が、武士が、」と歯切はぎしりして、ぐっとまでにはならぬけれど、ほんとに突いて
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)