まさに)” の例文
只洪鐘のみ存ぜり。耳塚を経て寺門前茶店に至て撫院を待。まさに申後なり。薄暮撫院来る。遂に従て行く。伏見街道に至れば已に夜なり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
(古今六帖に出。)荷花盛に開く。門を出桜の馬場の半より左曲す。坂本村田圃を過。楠公碑を拝し湊川をすぐ。水なし。五里兵庫駅。六軒屋定兵衛の家に休す。日まさになり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
(柳緑花紅碑をたづぬ。夜いまだあけざる故尋不得。)矢弓茶店(奴茶屋といふ、片岡流射術の祖家なり)に小休す。数里行て夜まさにあけたり。うばふところより日の岡峠にいたる。かう高からず。踢揚茶店けあげちややに休す。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)