正木まさき)” の例文
とその黄昏に福知山の納戸頭なんどがしら正木まさき作左衛門の玄関へ、こうわめきこんだ男は、娘の千浪ちなみの供をして生田の競馬へ行った仲間ちゅうげんの五平であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この女神は日蔭ひかげかづらを襷にかけ、正木まさきかづらの鉢卷をして、笹の葉を手に持ち、足拍子を取りながら扉の前で踊り出すといふ滑稽さであつた。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そんなはずはありませんよ。昨日きのう正木まさきが見ていて僕の方が高いといいました。お姉様は内藤君にひいきしている」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
合気の術は剣客武芸者等の我が神威を以て敵の意気をくじくので、鍛錬した我が気のさえを微妙の機によって敵に徹するのである。正木まさき気合きあいはなしを考えて、それが如何なるものかをさいすることが出来る。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あからみし麦や正木まさきの垣間より 巴流
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
「あ、これは正木まさき君だぜ。」
鉄人Q (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
正木まさき千石
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は斯の浅間の裾の地方に桜井先生や故正木まさき大尉のやうな隠れた人物を置いて考へるよりも、泉君のやうな画家や子安君のやうな少壮な学者を置いて考へるよりも
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)