正服せいふく)” の例文
刑事や正服せいふくまもられて、会社から二丁と離れてない自分のうちへ、帰ったのだった。そして負傷した身体からだを、二階で横たえてから、モウ五六日った朝のことなのである。
(新字新仮名) / 徳永直(著)
其巡査の話に、正服せいふく帯剣たいけんで東京を歩いて居ると、あれは田舎のおまわりだと辻待つじまちの車夫がぬかす。如何してかるかときいたら、で知れますと云ったと云って、大笑した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
二人の正服せいふく巡査は、花房一郎に眼配せされて飛んで行きました。が間もなく帰って来て
笑う悪魔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
サーベルをガチャガチャいわせて三十分ごとに巡回する正服せいふく巡査、紋三と同じ様な猟奇者りょうきしゃ、などがその主なものであったが、ほかにそれらのいずれにも属しない一種異様の人種があった。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
間もなく、一人の正服せいふくの警官が背広の男と連立ってやって来た。正服の方は、後で知ったのだが、K警察署の司法主任で、もう一人は、その顔つきや持物でも分る様に、同じ署に属する警察医だった。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)