梨子地なしじ)” の例文
私は祖父の古い梨子地なしじかみしもというのも見ました。祖母の縫取模様の衣類や帯、父の若い時に着た革羽織かわばおりというのも見ました。
虫干し (新字新仮名) / 鷹野つぎ(著)
白い髪が、綿のように伸び、あぎとにも、伸びたひげが光ってみえる。それへ、梨子地なしじ烏帽子えぼしをかむり、領送使のすすめる輿こしのうえに身をまかせた。輿へ移る前
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一が黒の蝋色ろういろである。それから、朱、青漆あおうるし、朱うるみ、ベニガラうるみ、金白檀びゃくだん塗り、梨子地なしじ塗りなど。
お玉はそれを、町の方へ向けてなるべく明るいようにして、仔細に見ると、梨子地なしじ住吉すみよしの浜を蒔絵まきえにした四重の印籠に、おきなを出した象牙ぞうげ根付ねつけでありましたから
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
床の間の刀架かたなかけに縦に飾ってある梨子地なしじさやの長い刀を指しました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
梨子地なしじをまいたような火の子が、繚乱りょうらんとして飛びはじめました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
梨子地なしじの印籠に二十両の金」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)