桓帝かんてい)” の例文
「この徐州の郊外に、ひとり詩画琴棋しがきんきをたのしんで、余生をすごしている高士こうしがおります。桓帝かんていの御世宮廷の尚書を勤め、倉厨そうちゅうは富み、人品もよく……」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから老翁はことごとく関羽に心服して自分の小斎こべやに招き、身の上などうちあけた。この老翁は胡華こかといって、桓帝かんていのころ議郎ぎろうまで勤めたことのある隠士だった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かえりみるに、むかし桓帝かんてい、霊帝はご微弱におわせられ、為に、漢統ようやくみだれ、奸臣はびこり、田野年々凶をかさね、ここに諸州騒乱して、ついに乱世のすがたを現わした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桓帝かんてい、霊帝このかた、四海わかれて争い、群雄みな覇王はおうを僭称す。ひとりわが太祖武帝、民をいつくしみ、六合りくごうをはらい清め、八こうむしろのごとく捲いて、ついに大魏国を建つ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桓帝かんていいて、十二代の帝位についた霊帝は、まだ十二、三歳の幼少であるし、輔佐の重臣は、幼帝をあざむき合い、朝綱ちょうこうみだりにし、佞智ねいちの者が勢いを得て、真実のある人材は
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまから五十年前——まだ桓帝かんてい御宇ぎょうの頃です。遼東の人で殷馗いんきという予言者が村へきたとき申しました。近頃、いぬいの空に黄星こうせいが見える。あれは五十年の後、この村に稀世の英傑が宿するしらせじゃと。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)