桑門そうもん)” の例文
それがし年来桑門そうもん同様の渡世致しおり候えども、根性こんじょうは元の武士なれば、死後の名聞みょうもんの儀もっとも大切に存じ、この遺書相認あいしたため置き候事に候。
身は桑門そうもんとなるまでも生身なまみの大黒天と崇め奉らんと企つる内、唐穴からっけつになって下山しとうとう走り大黒を拝まなんだ。
養老元年の紀に、この頃百姓法律に背いて、ほしいままにその情に任かせて髪をびんおろし、たやすく法服を着けて貌を桑門そうもんに似せ、情に奸盗を挟むともみえている。
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「兄上は桑門そうもんのおん身、宗治はここの守将でござる。せっかくですが、代役はおねがいできませぬ」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「仏事のあとは、きまって桑門そうもんの方々を招じてオトキを差上げるのが日本古来の習慣じゃよ」
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ことに権兵衛殿はすでにもとどりを払われてみれば、桑門そうもん同様の身の上である。御助命だけはいかようにも申してみようと言った。市太夫は頼もしく思って帰った。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)