核子たね)” の例文
それによると、すべて西洋人は汽車のなかで果物を食べる折には、食べ残した核子たねは、一々克明に窓から外へ投げる事にきめてゐる。
と云ひながら、散〻食ひ散らした水蜜桃の核子たねやら皮やらを、一纏めに新聞にくるんで、窓のそとした。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
またしかも、には三粒のなつめ核子たねを握っていたし、口のうちにも、馥郁ふくいくたる酒のかおりが残っていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ核子たねの固まらぬ梅の實を取つて來て、掌に載せた鹽を附け/\、コリ/\かじり始めてゐた竹丸は
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
西 しわんぼの柿の核子たね
東西伊呂波短歌評釈 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
すると、この頃になつて、船橋氏は自分の子供が、西洋人は汽車で果物を食べると、核子たねみな窓から捨てる事になつてゐる。
さんざん食い散らした水蜜桃の核子たねやら皮やらを、ひとまとめに新聞にくるんで、窓の外へなげ出した。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宋江はそれも食べ、核子たねは捨てる所がないので、のなかに握っていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして口に残つた核子たねは一頻りしやぶり通した後で、えてきちのやうな口もとをして床の上に吐き出して素知らぬ顔をしてゐた。
其男の説によると、もゝ果物くだもののうちで一番仙人めいてゐる。何だか馬鹿見た様なあぢがする。第一核子たね恰好かっこうが無器用だ。つ穴だらけで大変面白く出来上つてゐると云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その男の説によると、ももは果物のうちでいちばん仙人せんにんめいている。なんだか馬鹿ばかみたような味がする。第一核子たね恰好かっこうが無器用だ。かつ穴だらけでたいへんおもしろくできあがっていると言う。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)