枕席ちんせき)” の例文
芸妓の芸が音曲舞踊の芸ではなくして枕席ちんせきの技巧を意味せられる時代には、通人つうじんはもはや昔のように優れた享楽人であることを要しないのである。
享楽人 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
品は初子が亀千代を生んだ年に二十一歳で浜屋敷に仕へることになつて、すぐに綱宗の枕席ちんせきしたらしい。あるひは初子の産前産後の時期にちようを受けはじめたのではなからうか。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
けだシ典薬寮味原樹、掃部かもん寮大庭ガしょうナリ、摂津ノ国ニいたレバ神崎蟹島かにしま等ノ地アリ、此門連戸、人家絶ユルコトナク、倡女しょうじょ群ヲ成シテ扁舟へんしゅうさおサシ、舶ヲ看撿かんけんシテ以テ枕席ちんせきすすム、声ハ渓雲ヲ過ギ
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
夜中枕席ちんせき冷かなり
崩浪亭主人 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)