板下はんした)” の例文
五元集ごげんしゅう』の古板こはん其角きかく自身の板下はんしただからいくら高くてもかまわない買いたいと思うのはわれわれの如き旧派の俳人の古い証拠で
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
このおとっさんをひとつ、芸娼院の人別に入れてくんな、これは木曾の藤兄ふじあにいといって、めいはらませて子まで産ませて追ん出した上に、それを板下はんしたに書いて売出した当代の甘いおやじさんだ
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
板下はんしたに念を入れた数遍摺の美くしい錦絵のような袋を作った。
第二篇は歌麿の制作を分類して肉筆及黄表紙きびょうし絵本類の板下はんしたならびに錦絵摺物すりもの秘戯画等となし、各品かくひんにつき精細にその画様と色彩とを説明せり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
写楽は役者似顔絵専門の板下はんした絵師なりしが極端なる写実の画風当時の人気に投ぜず暫時にしてその制作を中止せり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
奥村政信鳥居清満きよみつら皆人物画の制作以外に、かかる浮絵の板下はんしたを描きたりしが、安永あんえい年代に至りて歌川豊春うたがわとよはるもっぱら遠景名所の図を描き出せしよりおおいに流行を極め
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
師宣もろのぶ政信まさのぶ懐月堂等かいげつどうとうの諸家は板画と共に多く肉筆画の制作をなせしが、鳥居清信とりいきよのぶ専ら役者絵の板下はんしたえがき、宮川長春みやがわちょうしゅんこれに対して肉筆美人画を専らとせしより
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
十八歳にして父を喪いその家を嗣いだが、主家の権臣一柳左京の憎むところとなり、遂に主家を去って赤坂の某処に住し家塾を開き、かたわら板下はんしたを書いてわずかに口をのりしていた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)