ケン)” の例文
「それではお前に尋ねるが、リンネルの背広に鳥打帽ハンチングを冠むり、支那竹のケンを携えた三十七八の紳士が今日、お前の所へ来られた筈だが?」
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鉛色の唇をした不良青年が、持っていたケンをヒョイと上げて、或る方面へれとなく、合図めいたことをしたからである。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ボヘミヤン・ネクタイ、あいオーバ、(少しよごれた流行いろの薄茶)それから羅紗の合帽子(少し穢れた流行色の薄茶)手にはケン、足には赤靴、栄養不良らしい蒼黒い顔、唇と来たら鉛色である。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)