朱羅宇しゆらう)” の例文
持つて來た煙草盆たばこぼんを、敷居際に押しやると、自分は朱羅宇しゆらうの長いのを取上げて、靜かに一服吸ひ付けました。恐ろしく落着き拂つた態度です。
でう座敷ざしきに六まい屏風びやうぶたてゝ、おまくらもとには桐胴きりどう火鉢ひばちにお煎茶せんちや道具だうぐ烟草盆たばこぼん紫檀したんにて朱羅宇しゆらう烟管きせるそのさま可笑をかしく、まくらぶとんの派手摸樣はでもやうよりまくらふさくれなひもつねこのみの大方おほかたあらはれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女持の華奢きやしやな短刀が、ふくよかな花嫁の胸に突つ立つて、朱羅宇しゆらうのやうに燃えてゐるのも凄慘です。
「ね、親分。短刀の柄が朱羅宇しゆらうのやうになつて居るのに、娘の手が血で汚れて居ないのは變ぢやありませんか、——それに親分が言つたやうにたもとで短刀を掴んだ樣子もありませんぜ」