朱欒ざぼん)” の例文
美しい黄の色が眼を射ると思えば、小さな店に柚子ゆずが小山と積んである。何と云う種類しゅるいか知らぬが、朱欒ざぼん程もある大きなものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そりゃあ君、山があって、そして朱欒ざぼんという大きな蜜柑が出来る処さ。」と突然禎輔は冗談のように云った。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
加之、識る人も識らぬ人も酔うては無礼の風俗をかしく、朱欒ざぼんの実のかげに幼児と独楽こまを廻はし、戸ごとに酒をたづねては浮かれ歩るく。祭のあとの寂しさはまた格別である。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
また畑の中に立つた夏蜜柑や朱欒ざぼんのその青い実のたわわに枝にやすんでゐる、この遠い街道に沿つた、村の郵便局の、壁にあるポストの金具を、ちよいと指さきに冷めたく思つたそのあとで
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
竿に釣りて朱欒ざぼんのうへの白足袋は乾きたるらし動きつゝみゆ
長塚節歌集:3 下 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
加之、識る人も識らぬ人も醉うては無禮講の風俗をかしく、朱欒ざぼんの實のかげに幼兒と獨樂こまはし、戸ごとに酒をたづねては浮かれ歩く。祭のあとの寂しさはまた格別である。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
くわつと燃え立つ杉の木、松の木、朱欒ざぼんの木。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くわつと燃え立つ杉の木、松の木、朱欒ざぼんの木。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)