末孫ばっそん)” の例文
こう、為朝ためともは、おらが先祖だ。民間に下って剃刀の名人、鎮西八郎の末孫ばっそんで、勢い和朝に名も高き、曾我五郎時致ときむねだッて名告なのったでさ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
美雲の父は鎧師よろいしで、明珍みょうちん末孫ばっそんとかいうことで、明珍何宗とか名乗っていて、名家の系統を引いただけに名人肌の人でした。
竹裏館の秘密会で、王允おういんもいったとおり、彼の家柄は、元来名門であって、高祖覇業を立てて以来の——漢の丞相じょうしょう曹参そうさん末孫ばっそんだといわれている。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本職の猿は別物として、猿の末孫ばっそんたる人間にもなかなかあなどるべからざる手合てあいがいる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
むずかしい役目を引受けさせられたのが鎮守府将軍田原藤太秀郷とうだひでさと末孫ばっそんと云われ、江州ごうしゅう日野の城主から起って、今は勢州松坂に一方の将軍星として光を放って居た蒲生忠三郎氏郷であった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)