木臼きうす)” の例文
鎧窓からさすかすかな光線で、三坪ほどの小屋の一隅に、土間に半分埋められた木臼きうすが、三つならんでいるのがわかる。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
彼は納屋なや檐下のきしたにころがって居る大きな木臼きうすの塵を払って腰かけた。追々人がえて、柿の下は十五六人になった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
南部の方でも三戸さんのへ郡の荒沢不動に、山男の使った木臼きうすが伝わっていることを『糠部五郡小史ぬかのぶごぐんしょうし』には録している。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
美的百姓は木臼きうすに腰かけたまゝ、所在しょざいなさに手近にある大麦の穂を摘んでは、掌でもみってかじって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
摺臼すりうすというものが入ってくる前には、玄米を得るのは木臼きうす手杵てぎねとの労働であった。上代の舂米部つきよねべの任務は今日の舂米屋つきごめやのそれとは異なり、主として籾を玄米にすることを目的とした。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)