有楽町ゆうらくちょう)” の例文
けさ上野うえの駅について、浅草あさくさ有楽町ゆうらくちょうで、映画を二つ見た。映画館の群衆は、自分とはまったくちがった別世界の生きものであった。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
麹町こうじまち有楽町ゆうらくちょうの保険協会の地下室の楽堂で、大正九年に開催したのがはじめで、震災の年まで三回つづいた。私は文壇の人におもにおいでを願った。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
保は三月三日に静岡から入京して、麹町有楽町ゆうらくちょう二丁目二番地たけ寄寓きぐうした。静岡を去るに臨んで、渋江塾を閉じ、英学校、英華えいか学校、文武館三校の教職を辞した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼女は喜んで日々弁当持参べんとうじさんで高樹町から有楽町ゆうらくちょうのミシン教場きょうじょうへ通ったが、教場があまり騒々そうぞうしくて頭がのぼせるし、加上そのうえミシンだいの数が少ないので、生徒間に競争がはげしく
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
数寄屋橋見附すきやばしみつけをはいって有楽町ゆうらくちょうを通り抜けて来ると、ここらが丁度休み場所である。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まだ日が高いからというので、有楽町ゆうらくちょうに廻って、シネマスコープを見たが、その道でも、映画館の中でも、尾行者らしい者は、どこにもいなかった。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
有楽町ゆうらくちょうにたちならぶ、大新聞社の屋上には、おおぜいの新聞記者が、空をながめて、わめいていました。すばやい写真部員は、飛びさる円盤にカメラをむけました。
宇宙怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
きみたち、有楽町ゆうらくちょうのガードの下に、クツみがきがならんでいるのを知ってるだろう。
透明怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)