最先まっさき)” の例文
佐々が気づいたとき、最先まっさきに感じたのは恐ろしい眩暈めまいであった。脳味噌が誰かののうちにギュッと握られているような感じだった。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
貴族とか、富豪とか、その他種々の少数者階級の便益のために、民衆一般の利福を蹂躪するが如きは、民本主義の最先まっさきに排斥するところのものである。
ローヤル旅館を最先まっさきにして四五の旅館で宿帳を見せてもらったが、ことごとく失敗であった。最後に無駄とは思いながら念の為に海岸寄りのレヂナ旅館へ立寄って見た。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
冬の日のやや薄寒き牛込の屋敷町、最先まっさきに父親、次に芳子、次に時雄という順序で車は走り出した。細君と下婢とは名残なごりを惜んでその車の後影を見送っていた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
将碁しょうぎ倒しになって気絶していた一行の中で、最先まっさきに桂田博士が正気に返ってムクムクと起き上った。半ば身を立てて四辺あたりを見ると実に何ともいわれない悲惨な有様だ。
月世界跋渉記 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
黒田巡査が最先まっさきに飛び出して、扉の把手ハンドルに手をかけると、グッと押しました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)