最一もひと)” の例文
慶三はもうそんな事には耳をも借さず節穴へぴったり顔を押当てたまま息をこらして身動き一ツしないので、お千代も仕方なしに最一もひとツの節穴へ再び顔を押付けたが
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
脱いで提げたる道中笠、一寸ちょっと左手に持換えて、紺の風呂敷、桐油包とうゆづつみ、振分けの荷を両方、蝙蝠こうもりの憑物めかいて、振落しそうに掛けた肩を、自棄やけに前に突いて最一もひと蹌踉よろける。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうぢや、さうぢや、はあさうぢや。はあさうぢや。」と、馬鹿囃子ばかばやしうかれたやうに、よいとこまかして、によいと突立つツたち、うでいた小兒こどもむねへ、最一もひとおとがひおさへにくと、いきほひ必然ひつぜんとして
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最一もひとツ六畳が別に戸外おもてに向いて居て、明取あかりとりみんなで三げんなり。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
最一もひと嘵舌しやべつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)