曼珠沙華まんじゆしやげ)” の例文
曼珠沙華まんじゆしやげは田のくろの石地蔵が好きだ。むらがり寄つてお祭りする。この花は又墓場も好きだ。淋しさに燃えていられる処だからだ。
雑草雑語 (新字旧仮名) / 河井寛次郎(著)
就中なかんづく薄い水苔みづごけのついた小林平八郎の墓の前に曼珠沙華まんじゆしやげの赤々と咲いてゐた景色は明治時代の本所ほんじよ以外に見ることの出来ないものだつたかも知れない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
曼珠沙華まんじゆしやげひら/\と、左右さいうえたるを、あれはきつねか、と夜戻よもどりの山法師やまぼふし
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして思ひがけなくもその柳の蔭の物洗場に一面に曼珠沙華まんじゆしやげが咲き出した。
村住居の秋 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
曼珠沙華まんじゆしやげ咲くべくなりて石原へおりむ道のほとりに咲きぬ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
曼珠沙華まんじゆしやげ莖立くきだちしろくなりにけりこの花むらも久しかりにし
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
曼珠沙華まんじゆしやげむらがり咲けりこの花の咲くべくなりていまだしこも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
曼珠沙華まんじゆしやげ茎立くきだちしろくなりにけりこの花むらも久しかりにし
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)