曠野くわうや)” の例文
當時たうじ寫眞しやしんた——みやこは、たゞどろかはらをかとなつて、なきがらのごとやまあるのみ。谿川たにがはながれは、おほむかでのたゞれたやうに……寫眞しやしんあかにごる……砂煙すなけむり曠野くわうやつてた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一体に北に向ふ満鉄本線の左は曠野くわうやなのに対して、右は概して山巒が多い。その山巒の間に野が抱かれ、川が横たはり、村落が点在し、楊柳が其等のものを隠見して、美しい遠近景を作つてゐる。
暗き、暗き曠野くわうやにも似たる
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)