星宿せいしゅく)” の例文
栗毛くりげこまたくましきを、かしらも胸もかわつつみて飾れるびょうの数はふるい落せし秋の夜の星宿せいしゅくを一度に集めたるが如き心地である。女は息を凝らして眼をえる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが動機になって子供は空のよくはれた晩には時々星座図を出して目立った星宿せいしゅくを見較べていた。その頃はまだ織女しょくじょ牽牛けんぎゅうは宵のうちにはかなりに東にあった。
小さな出来事 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
手を出そうかなと思う矢先へもって来て、急に黒い斑点はんてんが、晴夜せいや星宿せいしゅくのごとく、縦横に行列するんだから、少し辟易へきえきしてしまって、ぼんやり皿を見下みおろしていた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)