)” の例文
四日前の月の夜、ぎ上がったばかりの物干竿に、けた人間が、さっきの菰をねて、馬の後からいて来るような気がする。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、俺が斬ると云った人間ではずした者は一人もない。遅いか、早いかの違いじゃないか。また、俺が手にけなければ、壬生みぶの近藤や土方ひじかたの方で必ずる。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「べら棒な。——ほかに男をこしらえた女、俺が手にけて、成敗したのは、当りめえだ」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お里を手にけたさえ、後では、いい気持ではないのに、その弟まで、万一にも」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かっと一時の感情で、自分の手にけた里次のかんざし——。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)