斬合きりあ)” の例文
せて来たら、見せてあげます。あなた方は、実戦というものは、境町さかいちょうの人形芝居の斬合きりあいよりほか見た事はないでしょう。——なかなか華々しいものですぞ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おれの首をねらってるんだ」と半兵衛はささやいた、「踏み込んで来たら出さんは庭へとびだしてくれ、敵の退路を断つんだ、斬合きりあいはおれが引き受けるから安心しろ」
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「さア——来た以上、仕方がない。不本意ながら、おたくを血だらけに致すよりほか、まず、みちはござるまい。斬合きりあいには、ざんバラがみが一番邪魔じゃまでござる。手拭いを一本——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
押込おしこみ斬合きりあい、——そして最後に彰義隊の戦争から、寛永寺三十六坊の炎上、八百八町の落武者狩までの、血と焔の印象が、まだまだそんな事では表現し切れなかったのです。
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
美しい方を見ると、黒鰐くろわに赤鮫あかざめが襲います。騎馬が前後を守護しました。お憂慮きづかいはありませんが、いぎ参ると、斬合きりあ攻合せめあう、修羅のちまたをお目に懸けねばなりません。——騎馬の方々、急いで下さい。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)