擁護ようご)” の例文
土地によってはそれが大黒だいこくともなり、海と陸との生産擁護ようごをこの二つの神が分担し、または二神揃って農民の家に祭られたまうを見れば
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして所謂いわゆる知識階級に於いてである。その精神は何といっても今日の文明の擁護ようごである。決して今日の文明の否定ではない。
童話に対する所見 (新字新仮名) / 小川未明(著)
破牢の兵馬を糾弾きゅうだんすべき地位にある人で、それを擁護ようごすべき立場の人でないということはお松にもよくわかるはずです。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは、校長のうしろ楯となって、その立場を擁護ようごするためのようにも思えたが、また、あべこべに、生徒たちのまえで校長にけちをつけているようにも思えた。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そして以後、三法師の擁護ようごを、信雄の任として、これを託し、同月二十九日、宝寺城に凱旋した。——帰って二日めには、はやその年の大晦日おおつごもりであったのである。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の起きぬにとく起きて、彼の準備を助け、彼の眼や耳にさらに触るることなく、彼の身辺を擁護ようごする母の情愛があって、始めて無難な試験をたものと、迷信かは知らんが僕は信ずる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
擁護ようごする必要を感じたので
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
徳川を擁護ようごするのと、それを倒そうとするのとが、天子おわすところでみ合っている——その間にからまるのが攘夷じょうい。志士を気取って勤王を看板に、悪事を働く厄介者やっかいもの
終りにこれは自分の領分でないが、少しばかり分類学上の赤ショウビンを擁護ようごしてやりたいと思う。
将軍霊あらば、孔明の不才をたすけ、漢朝の末流たるわが三軍の困兵こんぺい擁護ようごの力をえ給え
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国憲こっけん擁護ようごのため、国体の本義に立って、われわれは城と共に最後の最後まで戦わずには措かん。賊軍の一兵も台下を通過させん覚悟でいます。……が、孤城よく幾日を支えうるか。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)