“撫然(ぶぜん)” の例文
「株などはどうでも構わんが、僕は曾呂崎(そろさき)に一度でいいから電車へ乗らしてやりたかった」と主人は喰い欠けた羊羹の歯痕(はあと)を撫然(ぶぜん)として眺める。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
李は撫然(ぶぜん)として、こんな事さえ云った。が、道士の無口な事は、前と一向、変りがない。それが、李の神経には、前よりも一層、甚しくなったように思われた。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
閑却されて、使者の役目まで忰(せがれ)に奪われた壮士は、撫然(ぶぜん)として忰に命令した。
大佐(たいさ)は撫然(ぶぜん)として天(てん)を仰(あほ)ぐのみ、一同(いちどう)の顏色(がんしよく)は益々(ます/\)青(あを)くなつた。
その時、先生撫然(ぶぜん)として
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と私(わたくし)はあまりの事(こと)に撫然(ぶぜん)とした。