插入そうにゅう)” の例文
新字:挿入
物語の筋はむしろ簡単であるが、途中に插入そうにゅうされたいろいろのエピソードで「映画的内容」がかなり豊富にされているのに気がつく。
映画雑感(Ⅳ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そして彼は元気な朴訥ぼくとつさをもって、また地勢についての賢明な叙述——(その叙事詩的な物語の中に変梃へんてこ插入そうにゅうされる)
それにたいていルバイヤットの詩句を插入そうにゅうしました。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
季題および切れ字の插入そうにゅうという制約によって規定された従来普通の意味での俳句あるいは発句のいわゆる歴史的の起原沿革については
俳句の精神 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
またあらゆる国の言語や音が插入そうにゅうされていた。彼はセザンヌの手法を詩に用いるのだと言っていた。
その中に一見それらの事件とは直接なんら論理的に必然な交渉はないような景物を詠んだ歌をいわゆるモンタージュ的に插入そうにゅうしたものがある。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また自分の作品の一つが、永遠のワグナーの巨大な二作の間に——ワグナー門下生の無価値な模造品と相並んで——插入そうにゅうされて演奏されるのを聞いても、彼は少しも愉快ではなかった。
しかしこの映画の劇中劇として插入そうにゅうされたレヴューの場面にいろいろ変わった趣向があってちょっとおもしろく見られる。
映画雑感(Ⅳ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
往々にして彼らは、知らず知らず自分が插入そうにゅうしたものをばかり取り上げていた。
またあまりに美しい完全な和弦が連行すると単調になり退屈になるので適当な不協和音を適当に插入そうにゅうすることによって、曲の変化と活気が生じる。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
他の一方には陰極が插入そうにゅうされていて、そこから強力な陰極線が発射されると、その一道の電子の流れは球形磁石の磁場のためにその経路を彎曲わんきょくされ
B教授の死 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
少なくもさし当たり小学校中等学校の教程中に適当なる形において火災学初歩のようなものを插入そうにゅうしたいものである。
函館の大火について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
次に元子説の反対者が「神の意志」を持ち出すのに対する弁駁べんばく插入そうにゅうされているが、これと本文との連絡がよくわからないとマンローも述べている。
ルクレチウスと科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
過去における別の場所の音的シーンを適当に插入そうにゅうあるいはオーヴァーラップさせ、あるいはまたフェード・イン、フェード・アウトさせることによって
ラジオ・モンタージュ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「ノン」の代わりに「いや」を插入そうにゅうし「ヴーザレヴォアル」のところへ「まあ見たまえ」をはめ込んでも効果においてはほとんど何もちがわないのである。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それと同時にまた一歩進んで適当な雑音の插入そうにゅうがいっそうこの沈黙の強度インテンシティを強めることもわかって来た。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
水中に插入そうにゅうしたかいの曲がって見える事は述べてあるが、屈折の方則らしいものは見いだされない。また数多あまたの鏡による重複反射の事実にもともかくも触れてある。
ルクレチウスと科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
セントヘレナの波の音のレコードが(そういうものがあったとして、それが保存されていたとして)適当に插入そうにゅうされたとしたら、それは実に不思議な印象を与えるであろう。
ラジオ・モンタージュ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
おまけに爆発とはなんの縁もない、有り合わせの河流の映像を插入そうにゅうしてみたら、意外にすばらしい効果を生じて、本物の爆発よりははるかに爆発らしい爆発ができたそうである。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
材木の切り出し作業や製紙工場の光景でも、ちょっと簡単な地図でも途中に插入そうにゅうして具体的の位置所在を示しならびに季節をも示してくれたら、興味も効能も幾層倍するであろう。
映画雑感(Ⅳ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これが插入そうにゅうの呼吸で実に不思議なおもしろいものに見えるのである。それからもう一つのおもしろみの原因は登場するキャストの選定によって現わされた人間の定型の真実さにある。
映画雑感(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
モーリスの出現によって陰気なシャトーの空気の中に急に一道の明るい光のさし込むのを象徴するように、「ミミーの歌」の一連の連続が插入そうにゅうされてインターリュードの形をなしている。
それで、今もしここに一人のすぐれた超人間があって、それらの方程式の全体を把握はあくし、そうしていろいろな可能な境界条件、当初条件等を插入そうにゅうして、その解を求めることができたとする。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もちろん定座には必ず同季の句が別に二句以上結合して三協和音のごとき一群をなすのであって、結局は春秋季題の插入そうにゅう位置いちを規定する、その代表者として花と月とが選ばれているとも言われる。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
マン・レイの「ひとで」の中にも少しばかりこれに似た実写が插入そうにゅうされているが、前者とは比較にならぬほど美しからぬものに見えた。この「ひとで」はあまりに細工が過ぎているように思われる。
映画雑感(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
編中に插入そうにゅうされた水面の漣波れんぱ、風にそよぐ蘆荻ろてきのモンタージュがあるが、この插入にも一脈の俳諧はいかいがある。この無意味なような插入が最後の「自由」のシーンと照応して生きてくるように思われる。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この、対照のために插入そうにゅうされたかと思われる兵隊の行列が女学生の行列に切り換えられてからは、もうずっと最後まで男の役者は全く一人も現われない。これはたしかに珍しい映画であるに相違ない。
映画雑感(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)