捲土重来けんどちょうらい)” の例文
敵の袁紹えんしょうは、捲土重来けんどちょうらいして、四州三十万の兵を催し、ふたたび倉亭そうてい(山東省陽谷県境)のあたりまで進出してきたと早くも聞えた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし項羽こううに英雄の器があれば、垢を含んでも、烏江を渡るです。そうして捲土重来けんどちょうらいするです。面目めんもくなぞをかまっている場合じゃありません。
英雄の器 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これが更に永く続くとすれば、列国講を収めて捲土重来けんどちょうらい、周囲の高度の文明の圧迫はいやうえに力を増して来るであろう。
一種の無頼漢の団体に相違ないのでありますが、今度は又、東洋方面に何等の重要な使命を帯びて、捲土重来けんどちょうらいしたものと考え得べき理由があります。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
口をのりするに忙がしくて捲土重来けんどちょうらいの花を咲かせようとする意気地が抜けていた。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そして、先に乱離らんりとなった原士の方も駈けあわせてきて、捲土重来けんどちょうらいの手ぐすねをひき、ふたたび疲れた弦之丞を危地へ誘い込もうとする。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして彼等はこの目的の下に、生命いのち知らずの無頼漢をすぐり集めて、曲馬団を組織して捲土重来けんどちょうらいしたものに違いないのである。これは決して私の自惚うぬぼれや何かで云うのではない。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
李傕りかく郭汜かくしの二軍が、その後、大軍を整え、捲土重来けんどちょうらいして、洛陽へ攻め上って来るとの急報が伝えられて来たのである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろん孔明その人も、捲土重来けんどちょうらいをふかく期していたのである。彼は、そのまま漢中にとどまった。そして汲々きゅうきゅうとして明日のそなえに心魂を傾けた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三年いくさを出さず、軍士を養い、兵器糧草りょうそうを蓄積して、捲土重来けんどちょうらい、もって先帝の知遇にこたえんと考えたのである。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことしは、いなごの災害のために、曹操は軍をひいたが、来春にでもなればまた、捲土重来けんどちょうらいしてくるだろう。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その期するものとは、いうまでもなく、捲土重来けんどちょうらい、大挙して、都へのぼる日のことでしかない。——それにそなえるべく、今日最終の室ノ津会議で、万端の手はずもきまッた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村には、まだ沢山な仲間が残って、狼藉ろうぜきの限りを尽している最中であろう。思うに、そこへ逃げ戻って、他の猛獣どもを糾合きゅうごうし、捲土重来けんどちょうらいして眼にもの見せてやろうというつもりとみえる。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「坪井山の成政が、捲土重来けんどちょうらいの勢いを見せておりますが」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)