押丁おうてい)” の例文
押丁おうていがそれを広い糺問所に連れ込む。一同待合室で待たせられる。そこでは煙草を呑むことが禁じてある。折々眼鏡を掛けた老人の押丁が出て名を呼ぶ。
或る夕方、女房は檻房かんぼうの床の上に倒れて死んでいた。それを見附けて、女の押丁おうていが抱いて寝台の上に寝かした。その時女房の体が、着物だけの目方しかないのに驚いた。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「あの差押えた品を渡せ」と云うや否や、押丁おうていはおれに例の紙包みを持って来て渡した。
(新字新仮名) / オシップ・ディモフ(著)
傍聴席は人の山を成して、被告および関係者水島友は弁護士、押丁おうていらとともに差し控えて、判官の着席を待てり。ほどなく正面の戸をさっとひらきて、躯高たけたかき裁判長は入り来たりぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とかくする内看守かんしゅ押丁おうていら打ち寄りて、漸く氏家を磯山より引き離したり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
それを見附けて、女の押丁おうていが抱いて寝台の上に寝かした。その時女房の体が、着物だけの目方しかないのに驚いた。女房は小鳥が羽の生えたままで死ぬように、その着物を着たままで死んだのである。
こんな顔の人をこれまで押丁おうていなんぞで見た事がある。
かえって法廷を進退する公事くじ訴訟人の風采ふうさいおもかげ伏目ふしめに我を仰ぎ見る囚人の顔、弁護士の額、原告の鼻、検事のひげ押丁おうてい等の服装、傍聴席の光線の工合ぐあいなどが、目を遮り、胸をおおうて
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)