手篤てあつ)” の例文
吾は、不幸なる闇川吉人が、幸いに瀬尾教授の手篤てあつき手術によりて、戦前の如き健全なる彼にまで恢復することを祈念してやまざるものなり。
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ある僧が旅で病んだがこの村の人が手篤てあつく看護したためにえたという。坊さんはそのお礼にといって、竹で籠を編む手法を村の人に教えてくれたという。
陸中雑記 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
作左衞門はお千代の様子を見まして、是れならば手篤てあつく道具を取扱ってくれるだろう、誠に落着いてゝい、大切な物を扱うに真実で粗相がないから宜いと、大層作左衞門は目をかけて使いました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その手篤てあつい看護がこうそうしたのか、それとも竹見の友情が天に通じたのか、ハルクはすこし元気を取り戻したようであった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おお、可哀かわいそうな人であります。わたくし、こうして置いて、後で手篤てあつほうむってやります。たいへんたいへん、気の毒な人です。みな、あの○○獣のせいです
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「つまり、トラ十は署内で死んだから、屍体したいを下げ渡す。だから知合の者が集まり、通夜回向つうやえこうをして、手篤てあつほうむってやれとむりにでも、宿の主人に押しつけてしまうんだ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)