“成可（なるべ）” の例文
やらないで野育ちにという訳では無い、成可（なるべ）く金肥をつかわないでやれないか如何（どう）かという問題である、出来るだけの肥料は自給して、金肥を
百姓弥之助の話：01 第一冊 植民地の巻 (新字新仮名) ／ 中里介山(著)
自由を尊重する民主主義の世界には成可（なるべ）く禁則の少い事が望ましい。然し其為には禁則が無くても問題を起さない様な立派な国民になる事が先決問題である。
安吾人生案内：05 その五　衆生開眼 (新字新仮名) ／ 坂口安吾(著)
併し成可（なるべ）く沈着に、火鉢で焼けて居る花の莟を、火箸（ひばし）の尖（さき）で撮（つま）み上げるや、傍の炭籠のなかに投げ込んだ。
田園の憂欝：或は病める薔薇 (新字旧仮名) ／ 佐藤春夫(著)
成可（なるべ）く静かにしましょう。こんなことはあの人には知らせたくないと思いますからね。あなただって異存はないでしょう。あの人をびっくりさせるだけの話ですから。
みごとな女 (新字新仮名) ／ 森本薫(著)
鮎を五十年釣つてゐるといふ人でさへ、まだ鮎の深奥の習性は解らないといつてゐるから、むづかしいことも亦（また）釣りの王者である。そこで成可（なるべ）く処女地らしい処を狙つて出掛ける。
夏と魚 (新字旧仮名) ／ 佐藤惣之助(著)
が、或いは偶然でもあるかと思い返した。季節の燃えるようなこの花をホテルの部屋係が使うのは当然でもある。女は成可（なるべ）くそうだと思い度いので持って来たボーイに追求もしなかった。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) ／ 岡本かの子(著)
して、成可（なるべ）く七時頃迄待たせて居（お）いて貰いたいのだがね
真珠塔の秘密 (新字新仮名) ／ 甲賀三郎(著)
それのなかから、成可（なるべ）く珍らしいやうな文字を捜（さが）し出すためであつた。
田園の憂欝：或は病める薔薇 (新字旧仮名) ／ 佐藤春夫(著)
昌允　成可（なるべ）くなら、未納の方を選んで下さい。
華々しき一族 (新字新仮名) ／ 森本薫(著)