戎衣じゅうい)” の例文
とうノ大夫行房と、勘解由かげゆノ次官光守は、衣冠すがたで、馬上。ほかの公卿官人はみな、騎馬戎衣じゅうい(軍装)で供奉についた。
聞くこともはたうことも、永き夏の日に尽きざるに、帰営の時刻迫りたれば、謙三郎は、ひしひしと、戎衣じゅういを装い、まさに辞し去らんとして躊躇ちゅうちょしつ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朔風さくふう戎衣じゅういを吹いて寒く、いかにも万里孤軍来たるの感が深い。漠北ばくほく浚稽山しゅんけいざんふもとに至って軍はようやく止営した。すでに敵匈奴きょうどの勢力圏に深く進み入っているのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
身には数創を帯び、みずからの血と返り血とで、戎衣じゅういは重くれていた。彼と並んでいた韓延年かんえんねんはすでに討たれて戦死していた。麾下きかを失い全軍を失って、もはや天子にまみゆべき面目はない。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
山の芋、栗、甘柿、野葡萄のぶどう松茸たけなどの山のさち。もしや野山にしておわせられた戎衣じゅうい(軍服)の日を思い出られて、珍しくもない物ながら、ふと、おなぐさみにもなろうかと存じまして
戎衣じゅういとらえて放たざるに、謙三郎はこうじつつ
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)