いらへ)” の例文
新字:
顏差しのぞきて猫撫聲ねこなでごゑ、『や、や』とびるが如くゑみを含みて袖を引けば、今までいらへえもせずうつむき居たりし横笛は、引かれし袖を切るが如く打ち拂ひ、忽ち柳眉りうび逆立さかだて、言葉ことばするど
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たゞ我がはしごを走りおりしとき、半ば開きたる窓のとばりすこしゆらめきたるやうなりき。是れ我少女なりしならん。さらば君よ、とわれ呼びしが、窓の中はしづまりかへりて何のいらへもなし。
重景ははづかしげにかうべし、『如何でかは』と答へしまゝ、はか/″\しくいらへせず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)