くたび)” の例文
「何でもいいから芝へ行きましょう。うなれば見えも外聞もありゃしない」お島はそう言ってくたびれた男を引立てた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
今日きょうも朝から一日奔走かけあるいたので、すっかりくたびれてしまって、晩方一風呂ひとっぷろはいったところが、暑くて寝られんから、ぶらぶら納涼すずみに出掛けて、ここで月をていたうちに
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
脚も手もくたびれきった体を、硬い蒲団に横たえると、すぐにぐッすり寝込んだ。朝起きるとまた同じように、重い体を動かさなければならなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
門飾の笹竹ささだけが、がさがさとくたびれた神経に刺さるような音を立て、風のむきで時々耳に立つ遠くの町の群衆の跫音あしおとが、うしおでも寄せて来るように思いされた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
叔母は待ちくたびれて安火に入って好きな講釈本を読んでいたし、お庄は帰ろう帰ろうと思いながら、もう外へ出るのが億劫おっくうになって、暖かい日のあたる縁側で
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小野田が出したねんごろな手紙にいざなわれて、田舎で毎日野良仕事にくたびれている彼の父親が、見物にやって来たり、お島から書送った同じ誘引状に接して、彼女が山で懇意になった人々が
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)