慰安いあん)” の例文
減らし色々の点で節約したけれども彼女の慰安いあんには何一つ遺漏いろうのないようにしたゆえに盲目になってからの彼の労苦は以前に倍加した。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
当時とうじわたくしりましては、んだ良人おっとうのがこのける、ほとんど唯一ゆいいつ慰安いあんほとんど唯一ゆいいつ希望きぼうだったのでございます。
その博士は、「今日はこれから君の慰安いあんかたがた、君を深海見物に連れて行こうと思う」といって、ひげの中からにやりと笑った。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それに、そのなかの何人が、そうした運動に真剣しんけんに協力してくれるか、それも心もとない。これは朝倉先生の自己慰安いあんにすぎないのではないか、とも思った。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
武田の士卒しそつは、呂宋兵衛るそんべえらのために森にいましめられていた善良の民を第一に解放し、きぬなき者にはきぬをあたえ、財は家々いえいえへかえしてやり、宝物は寺にはこび返し、老人には慰安いあん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お父さんはお前を慰安いあんしてやろうと思って、そこにレコードを買ってきたよ。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)