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情慾
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じょうよく
ふりがな文庫
“
情慾
(
じょうよく
)” の例文
藤三は
情慾
(
じょうよく
)
の困惑に襲われながらも、行動としては何の意慾も起らなかった。彼は刺青の姿態を肉体の上に見るだけで満足した。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
もうそうなると
情慾
(
じょうよく
)
もなく恋愛もありません、………私の心に感じたものは、そう云うものとは
凡
(
およ
)
そ最も縁の遠い
漂渺
(
ひょうびょう
)
とした陶酔でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
怪物の両眼はまるで青い
焔
(
ほのお
)
のように燃えているではないか。彼の
情慾
(
じょうよく
)
につれて、その
火焔
(
かえん
)
が刻一刻燃え
熾
(
さか
)
って行くではないか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼がどうして姪という肉親の小娘と
情慾
(
じょうよく
)
を結ぶに至るかというと、彼みたいに心にもない取澄し方をしていると、知らない女の人を
口説
(
くど
)
く手掛りがつかめなくなる。
デカダン文学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そんな面白味や
情慾
(
じょうよく
)
が、いつかは無くなってしまうだろう。その時自由意志で、決然として実行すれば好いのだ。そうすれば君主的な行いだ。
意張
(
いば
)
って出来る行いだ。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
▼ もっと見る
シュレムスカヤ夫人の場合は例外でしたが、あれにしたって、私があの時経験した
恍惚
(
こうこつ
)
とした心持は、恐らく普通の
情慾
(
じょうよく
)
ではなかったでしょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
男は徹夜続きの疲労し切った肉体に、逆に襲って来た
情慾
(
じょうよく
)
に眼が
眩
(
くら
)
み、
雄
(
おす
)
の野獣を思わせる荒々しさで征服し始めた。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
けだものの
情慾
(
じょうよく
)
を満足させることが、そのまま名探偵への復讐手段となるのだ。あいつの考えそうな事だ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こんな調子で、ナオミはいつも私の
情慾
(
じょうよく
)
を募らせるようにばかり仕向ける、そして
際
(
きわ
)
どい所までおびき寄せて置きながら、それから先へは厳重な関を設けて、一歩も這入らせないのです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だが、
情慾
(
じょうよく
)
に燃えたけだものには、そんなことを考える余裕はなかった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
慾
漢検準1級
部首:⼼
15画
“情”で始まる語句
情
情夫
情婦
情人
情誼
情緒
情事
情合
情景
情死