恐々おそるおそる)” の例文
お勢は近属ちかごろ早朝より駿河台辺するがだいへんへ英語の稽古けいこに参るようになッたことゆえ、さては今日ももう出かけたのかと恐々おそるおそる座舗ざしき這入はいッて来る。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ハテ何処どこにてか会いたるようなと思いながら身を縮まして恐々おそるおそる振り仰ぐ顔に落来おちくその人の涙の熱さ、骨に徹して
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
玉島は恐々おそるおそる紙幣を受取って、馴れた手つきで数えた。
罠に掛った人 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
益々顔を皺めながら文三が続いて起上ろうとして、叔母に呼留められて又坐直すわりなおして、不思議そうに恐々おそるおそる叔母の顔色をうかがッて見てウンザリした。思做おもいなしかして叔母の顔はとがッている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)