おびやか)” の例文
名を蔵人くらんど蔵人といって、酒屋の御用の胸板を仰反のけぞらせ、豆腐屋の遁腰にげごしおびやかしたのが、焼ける前から宵啼よいなきといういまわしいことをした。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と仰山に二人がおびえた。女弟子の驚いたのなぞは構わないが、読者をおびやかしては不可いけない。滝壷へ投沈めた同じ白金プラチナの釵が、その日のうちに再び紫玉の黒髪に戻った仔細しさいを言おう。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仰山ぎょうさんに二人がおびえた。女弟子の驚いたのなぞは構はないが、読者をおびやかしては不可いけない。滝壺たきつぼ投沈なげしずめた同じ白金プラチナの釵が、其の日のうちに再び紫玉の黒髪に戻つた仔細を言はう。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)