御跡おんあと)” の例文
なにとぞそこよりお落ちあそばしませ! ただし御跡おんあとに残りとどまって戦う兵なくば、敵いぶかしみ、御後おんあと追いかけ申すべし。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
受るも口惜くちをしと父樣はとてもうかまれまじきにより私しこと早々さう/\江戸えどへ參り實否をうけたまはり自然此書中の如くに候へばほねを拾ひ御跡おんあととぶらひ申さんと云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
東下り、京上り、往来ゆききに果つるおん旅や、御跡おんあとしる駅路うまやぢの繰りひろげたる絵巻物ゑまきもの、今巻きかへす時は来ぬ。時こそ来つれ、生涯の御戦闘みいくさへて凱旋がいせんの。時こそ来つれ、生涯の御勤労みつとめ果てゝ御安息おんやすの。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ただし、これはいては申さぬこと、なおまた万死をして中山殿の御跡おんあとをお慕い申してみたい者は、そのようになさるがよい、国に残る妻子眷族さいしけんぞくのことが気にかかるものあらば、それもまたお心任せ
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)