御詠歌ごえいか)” の例文
この娘が手甲脚絆きやはん負摺おひづるを背負つて、饅頭笠まんぢゆうがさに顏を隱したとしても、その楚々そゝたる姿や青春の美しさが沁み出るやうな御詠歌ごえいかの聲や
それが彼の耳に届いたのでしょうか、新生寺さんは突然しゃんと体を起し、合掌しながら、それは朗らかな、清く澄んだ美しい声で、御詠歌ごえいかを唄い出したのです。
むかでの跫音 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「いいやな、おめえ、ここは四国二十三番の札所ふだしょだ、御詠歌ごえいかぐらいはおつとめしなくっちゃ、霊地へ対して申しわけがない。そこでぼつぼつ始めるが……オイ、源次ッ」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是も同じ扮装いでたち若衆頭わかしゅあたま、白い脚半に甲掛草鞋笈摺を肩に掛け、柄杓を持って御詠歌ごえいかを唄って巡礼に御報謝ごほうしゃを…はてなの人も一人で流している、私は随分今まで諸方を流して慣れてるから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わかき姉妹の順礼御詠歌ごえいかうたひながら下手より登場。姉なるは盲目めしひなり。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
御詠歌ごえいか流しうらうらとりもつづく日
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
びんに手を花に御詠歌ごえいかあげて居り
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)